『越津ねぎ』について
ねぎは大別すると二つに分けられ、関東地方で主に栽培され、この地方でも馴染みの深い「千住ねぎ群(根深ねぎ、白ねぎ)」と、関西地方で主に栽培され、この地方では万能ねぎ等で知られる「九条ねぎ群(葉ねぎ、青ねぎ)」があります(下仁田ねぎに代表される「加賀群」が別に分類されることもあります)。これら地域のちょうど中間に位置する愛知県には、これらのねぎの中間の性質を持つねぎが古くより栽培されています。その名は「越津ねぎ」。近年では県の特産品として注目されています。
【原産地】
海部群越津村(現在の津島市越津町)
【由 来】
江戸時代中期に葉ねぎ(青ねぎ)と白ねぎを交配させて誕生したもので、当時は尾張藩主への献上品として珍重されていたそうです。
【分類・外観】
分けつ性(軟白部とよばれる白い茎の先端から葉鞘部と呼ばれる青色の葉に変わる部分で株分かれすること)が強いという特性から九条ねぎ群に分類されますが、外観は軟白部が葉鞘部と同じくらいの長さまで成長するため、一見、白ねぎと見間違えるほどです。白ねぎと比べて軟白部の径がやや細いものの、葉鞘部を含めた全体的な長さは白ねぎ並みです。
【栽培地】
現在では原産地である津島市での栽培はほとんど無く、主に江南市や一宮市などで栽培されています。
特に江南・一宮一帯は、ねぎ栽培における「土寄せ」に最適な土壌を有しいるため、良質のねぎが育っています。
「土寄せ」=軟白部を長く育てるために土盛をすることで、土が砂のようにサラサラしていると盛ることができず、逆に固すぎてもダメ。吸水が良く、かつ雨水に流されにくい適度な固さがある土が良いとされています。
【特徴・味】
葉鞘部も軟白部も両方とも美味しく食べられることがこのねぎの最大の特徴です
(一般には、葉ねぎは葉鞘部が、白ねぎは軟白部が食用部分です)
香りは白ねぎに近いものがありますが、軟白部は水分が多く、白ねぎより柔らかく甘味があります。また、生で食べた時のツンとくる辛味が少なく、マイルドな味わいです。
葉鞘部も白ねぎより柔らかですが、さすがに葉ねぎには負けます。
【収穫時期】
秋冬ねぎであるため、11月初旬から3月までの期間しか出荷されません。
厳冬期になり、霜にあたると甘味と柔らかさが増し、さらに美味しくなります。
【その他】
※平成14年に愛知県が制定した「愛知の伝統野菜(31品目)」のうちの一つです。
 「愛知の伝統野菜」の条件
  @50年以上前には県内で栽培されていた
  A地名や人名などが付くなど、県にゆかりがある
  B種苗が存在する
  C種苗や生産物が入手できる可能性がある    …のすべてを満たすものです。

※平成12年に日本テレビ「どっちの料理ショー」で特選素材として紹介された、一宮市の「千秋ねぎ」。この「千秋ねぎ」は産地である一宮市千秋町にちなんで名付けられたブランド名で、取材時の品種は越津ねぎでした。

【つぶやき…】
個人的には、豚骨しょうゆ系のラーメンに小口切りの越津ねぎがどっさり入った「冬季限定 特製 越津ねぎラーメン」の出現を期待しているのですが…。

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